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Carnist

Tom Looijschelder, Owner and Ethical Butcher

Credits

Photography - HIRO 
Interview - MINA

「この場所は、私たちの食に対する信念と肉本来の味わいを楽しんで欲しいと言う想いが込められています。ここでは、ただ肉を提供するだけではなく、畜産のプロセスや、その背景にあるファーマーの想いをお客様に伝えるための学びの場でもあります。そして私たちが大切にしているのは、コミュニティとのつながりです。100グラムのビーフをお求めのお客様から、豪快なリブアイステーキを選ぶお客様まで、それぞれのライフスタイルやご予算、ご家族のニーズにぴったりな商品を見つけるお手伝いを、私たちは心を込めて行っています」

Tom Looijschelder

 

「肉の消費量を減らす代わりに、より質の良い肉を食べよう」。Carnistのオーナーであるトムが掲げるこの画期的な哲学は、精肉業界に新たな風を吹き込んでいます。彼が成功を収めたノースバンクーバーのソーセージブランド「Snackish」で培ったこのアプローチは、Carnistという新しい挑戦においても大きな柱となっています。2024年9月、ケロウナ・オカナガンにCarnistをオープンしたトムは、彼のビジョンをさらに進化させました。Carnistは、環境の持続可能性と動物の健康や幸せを最優先にしながら、地元の小規模生産者を支援する「エシカル肉屋」として、新しい基準を打ち立てようとしています。

 

トム自らが牛、豚、鶏、羊を育てる各牧場を訪れ、動物たちがどのように扱われ、どのように処理されるか、そのすべてが彼の厳しい倫理基準を満たしているかを確認しています。すべての動物は細心の注意と敬意をもって扱われ、その結果、最高品質で風味豊かな商品が生まれます。Carnistが他の商業的な肉屋と一線を画すのは、動物のすべての部位を余すことなく活かし、素材の可能性を最大限に引き出すことにこだわっている点です。食科学とイノベーションの学位を持つトムは、常に新しいカットや独創的なレシピを取り入れ、我々が肉を食す体験を向上させています。

 

トムは「ビジネスはお金を稼ぐだけではなく、コミュニティのために意義のあるものを創り出すこと」と語っています。この新たなビジネスを通じて、ケロウナで肉の消費に新しいスタンダードを打ち立て、地元のスタートアップ企業と協力しながら、ケロウナに新しいアイデアとエネルギーをもたらしています。彼の家族もこの新しいステージに深く関わっています。2歳になる息子ルイは、Carnistの改装中、店内で初めての一歩を歩き始めました。妻のエミリーも、普段の仕事と並行してCarnistのエプロンをつけ、ビジネスを支えています。Snackishで培ったこの夫婦の揺るぎない情熱と献身的な姿勢は今も健在で、インタビューの中で語られるトムの言葉には、エミリーの熱い想いも共に込められています。Carnistは家族経営ならではの温かみに溢れ、ケロウナで一歩一歩、愛される存在として着実に足跡を刻んでいくことでしょう。

VOICE (V): Snackishというソーセージビジネスの後、どのようにCarnistのアイデアが形になったのですか?

 

Tom (T): Carnistのアイデアは、ノースバンクーバーでSnackishを立ち上げた頃からずっと温めてきたものです。数年前初めてケロウナを訪れた際、地元の美味しいチーズを探していたんですが、その時出会ったのが、Perseval and Young Cheesemongersのフィルとデジレー夫妻で、彼らとエシカルな肉屋を開きたいという私たちの夢や理想的な場所について話していました。しばらく経ってから彼らの商業建物内に空きが出ると連絡が来て、大家さんを紹介してくれたんです。それが2年前のこと。2024年5月にようやく鍵を手に入れ、そこからはお店のデザインを一から作り上げ、私たちの夢が徐々に形になっていきました。

Snackishの時は、副業としてこのプロジェクトに取り組んでいたのですが、その間にもSebastian & Co Fine Meats Ltd.で肉屋兼店長として働いていました。今回は完全にこの新しいビジネスに専念しています。一緒にビジネスを進めたい生産者の皆さんに声をかけ、小規模肉生産者協会を通じて貴重なつながりを築くことができました。そのおかげで、素晴らしい人々に出会い、準備のプロセスもスムーズに進みました。私たちが提携しているすべての牧場、例えばBrian Gisbrechtの豚や、K&D Farmのジルの鶏、Empireのジョイスの牛、そしてクレストンのHarmony Farmの羊など、実際に訪れて確認しました。どの生産者もビジネスの透明性や動物を尊重し扱っている姿勢に毎回感銘を受けます。

 

V: 「エシカル肉屋」とはどう定義しますか?

 

T: 私たちが「エシカル肉屋」として定義する中で、「動物」、「環境」、「牧場」という3つの柱があります。まず、動物を無駄なく使用し、すべての部位に敬意をもって扱うことを心がけています。リブアイやテンダーロインだけにとらわれず、すべての部位が持つ価値を見直し、忘れられがちな部位にも注目していきたいと思っています。また、動物の健康などウェルネスも最優先に考えています。私たちは自ら牧場を訪れ、動物たちが尊重され良好な生活環境で育てられ、ホルモンや抗生物質を使用しないクリーンな餌を与えられていることを確認しています。エシカルに育てられた動物は、肉自体が非常に風味豊かで、少量の肉で満足感が得られます。量よりも質。私たちのアプローチは無駄を出さないことで、環境への敬意と一致しています。

さらに、ローカルビジネスの支援も私たちの重要な信念の一つです。私たちは、小規模牧場と協力し、動物を大切に育てることに情熱を持っている彼らの仕事をサポートしています。私たちの役割は、彼らの高品質な製品をお客様に提供し、食のサイクルを完結させることです。このパートナーシップによって、地元生産者を支援するだけでなく、消費者が食べ物のルーツとつながる一つのきっかけになればと思います。

 

V: Carnistという名前にはどのような意味がありますか?

 

T:「Carnist」は、ヴィーガンの対義語です。しばしばヴィーガンによって侮蔑的に使われるこの言葉を、私たちはポジティブな概念として再定義しようとしています。思慮深く、エシカルな肉の消費を示すことで、責任あるかつ高品質な肉の楽しみ方があることを証明しようと考えています。

 

V: Carnistの次のステップは?

 

T: まずは、週に豚を2頭、羊を1頭、月に牛を1頭提供することから始めます。また、私たちの肉を引き立てる上質な調味料やスパイス、塩、ソース、オリーブオイル、手作りパスタや麺類など、地元と海外ブランドの商品を取り揃える予定です。さらに、将来的にはディナーパーティーのようなイベントも開催したいと考えています。そこでは、私たちが協力している生産者を招き、彼らのストーリーを共有していきたいです。このようなディナークラブやそのほかのイベントを通じて、肉を最良の方法で楽しむ方法を学べる場を提供できたらと考えています。何よりも、私たちのリビングルームの延長のような、誰もが心地よく感じ、何かしら好きなものが見つかるような温かい空間を作っていけたらと思います。

 

V: ケロウナのコミュニティについてどう感じますか?

 

T: 私はもともとオランダの小さな町の出身で、バンクーバーは家族を育てるには少し忙しすぎると感じていました。ケロウナは田舎の魅力と都市の利便性が絶妙に組み合わさった場所で、とてもポジティブなエネルギーに溢れています。カナダで最も急成長している都市として、ケロウナは新しい住民を次々と引き寄せており、私たちもその波に乗っています。私たちのお店がある通りは地元の小さな店が立ち並び、多くが新しくオープンしたばかりです。まるでノースバンクーバーのローワー・ロンズデールのような、活気に満ちたエリアです。多くの人々がバンクーバーやカルガリーなどの都市からここに移住し、よりゆっくりとしたペースの生活を求めています。特に若い家族は、健康的な食事や意識的な消費選択に対して関心が高いです。ケロウナは、私たちの価値観を反映したコミュニティを築くのにぴったりの場所だと思います。

 

V: 自分のビジネスを始めたいと思っている人へのアドバイスはありますか?

 

T: とにかくやってみてください!自分が正しいと信じることを貫き、他人に合わせる必要はありません。自分のビジョンに基づいてビジネスを築けば、自然と必要な人たちが集まってきます。私たちはこれを心から信じています。直感は大抵の場合、正しいです。多くの資金は必要ありません。進行する中で解決策がきっと見つかります。私たちは働く中間層の出身で、このビジネスに私たちのすべてが注ぎ込まれています。それでも、リスクを取って挑戦しています。やらなければ、後悔だけが残ります。だからこそ、恐れずに頑張ってください!

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VOICE 173

Carnist

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