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Photography - HIRO 
Text - MINA


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“私たちは乳牛を育てる環境に配慮しながら倫理的に生産されたミルクからチーズを作ります。その上で酪農家と消費者の間の距離をできるだけ短く、透明性を保つ努力をしています”

Creekside Cheese + Creamery

Creekside Cheese + Creamery

Johannes and Julaine Treurs, owners

Credits

Photography - HIRO 
Interview - MINA

 

「食べ物はどこから来るのか」今、さまざまな農家がその答えを消費者に示す中、酪農家もその一つとして数えられます。Creekside Creamery and Cheeseは、Agassizにある家族経営の酪農家で、オーガニック&エシカルな手法で育てられた乳牛のフレッシュな牛乳からチーズを手作りしています。Treurs一家がこの土地で酪農を始めたのは2011に遡りますが、独自の乳製品に着手し始めたのはわずか3年前の事です。

彼らが作るチーズは瞬く間に評判となり、ローカルはもちろんですが遠方からも沢山の人々が美味しい乳製品目当てにお店に訪れます。

バンクーバーからハイウェイで約1時間半。Agassizにやって来ると、Creekside Creamery and Cheeseを遥々訪れる理由に納得させられます。野菜農家やワイナリーと違って、何処か閉ざされたイメージが漂う酪農業のイメージを彼らは払拭してくれます。静かな小川が目の前を流れ、美しい山々と緑に囲まれた農場は小さなパラダイスのようです。そんな環境の中に悠々と牛たちが放牧され、「家族のペット」として飼われている豚、アルパカ、ロバに鶏(そしてファームドッグとキャット)もいます。 母家と牛小屋の間に新設された白と黒のモダンで可愛らしいチーズショップには、そこで作られたチーズと牛乳はもちろんですが、グラスフェッドの牛肉や数々のローカル商品が揃っています。そしてショップの下にはチーズを寝かせるための地下洞窟まで完備しています。

Julaineがフレッシュな牛乳で作ってくれたラテが何と美味しかったこと!実際、Creekside Dairyのファームで時間を過ごすと、仕事現場と言う印象よりもTreurs 一家の空間にお邪魔しているような感覚になります。それはきっと至る所で家族の愛、そして動物への愛を強く感じるからでしょう。その全ての愛がとびっきり美味しい商品となって現れているからこそ、絶え間なく人々がCreekside Creamery and Cheeseを訪れるのではないでしょうか。

酪農業の日々の営みを知りたかったら、ソーシャルメディアをチェックしてみて下さい。「食べ物はどこから来るのか」その問いかけに、彼らはとてもオープンに愛情を持って綴っています。今では市内のスーパーマーケットでも取り扱われる程急成長しているブランドですが、百聞は一見にしかず。やはり現地に出向いて彼らの真髄と幸せそうな牛たちの姿を見ることをお勧めします。食べ物が生まれる全ての魅力がそこにあるからです。

VOICE (V):Creekside Cheese & Creamery以前の、個人的なバックグランドをお話していただけますか?

 

Johannes(JO):私はオランダの酪農一家で育った酪農家系6代目で、その昔自家製チーズを作っていた歴史もあったそうです。父親が農場を手放し牧師になると決めた時期は私達家族にとって大きな変換期でした。父親はカナダ・チリワックの教会に呼ばれ家族全員で2002年カナダに移住したのです。その教会は、偶然にも後に私の妻となるJulaineとその家族が通う教会でもありました!2003年8月、二人の兄弟と私の共同でフレーザーバレーにある酪農場を購入し、5~6年間そこで酪農業を営み、2011年独立して、アガシズでCreekside Cheese&Creameryを始めました。

 

Julaine(J) : 実は、酪農は私の家族の歴史にも深く関わりがあります。私の母方の祖父母も酪農家でした。私がまだ赤ちゃんの頃に農場を売却したので、あまり詳しくは覚えてはいませんが、私自身チリワックの小さな農場で育ち、牛がいる生活は子供時代の生活の一部でした。高校時代は切り花農園で働き始め、偶然にもJohannesと彼の兄弟の農場のすぐ隣でした。私たちは教会のイベントを通じて次第に親しくなり、2005年結婚しました。アガシズの農場を購入する数ヶ月前は、彼も私と一緒に花農園で働いていた時期もありました。私は薬剤師として働いていましたが、長男が生まれたことをきっかけに仕事を辞め、その後更に4人の子供に恵まれました。

 

V:チーズビジネスはどのようにスタートしたのですか?

 

J:アガシズの新しい酪農場に来て数年経った頃、私はFacebookで私たちのリアルな農場生活をオンラインで共有し始め、酪農牛が何を食べ、どのように扱われているかについて投稿し始めました。なぜなら、酪農家についての誤った情報が多かったため、酪農家側からの真のストーリーを伝えたいと思ったからです。それは私にとって創造的なアウトプットとなり、酪農家以外の人々とつながる手段となり多くの反応とフォロワーも急増しました。私たちの農場での取り組みが好感を呼び、農場から直接牛乳や他の乳製品を購入したいと言うクエストも届くようになっていきました。

実際、ほとんどの酪農家の牛乳は、大規模な処理工場で他の農場の牛乳と一緒に回収され、スーパーマーケットで購入する際にはどの農場の牛乳かを知ることが出来ないのが現状です。

牛乳とチーズ販売のビジネスを始める前、農場で牛肉が残ったのをきっかけに、それを一般の人向けが購入できる告知投稿を出したことがありました。その投稿に対し非常に多くの反応があり、私たちは定期的に自家生産の牧草牛肉を販売することを決めました。時期的には2019年コロナ・パンデミックの数か月前の事で、牛肉販売は農場直売製品を作る大きなきっかけとなりました。

こんなきっかけもあった事もあり、新しいアイディアを試行錯誤、チーズと牛乳がどのように作られるか興味が湧き始め、いくつか異なる地元加工施設を見学に行きました。バンクーバー島で別の農場を訪れた際、BC州北部の町クェネルに住むフランス生まれのチーズ職人が彼のチーズ製造設備を売りに出していると云う情報を教えてくれました。その設備はすべて運搬可能なモービルホームトレーラーに設置してあり、農場に持ち帰るには理想的なものでした。ここから私たちのチーズ作りは本格的に始まりました。2020年初頭のことです。元所有者でチーズ職人だった彼は、Johannesにチーズ作りの手法と本場アルプス・スタイルのレシピを実地トレーニングを通して提供してくれたんです。今でも時折私たちを訪問してくれます。

 

Jo:実は、私の兄弟もオンタリオでチーズを作っています。私は牛乳をチーズにする過程が好きで、いくつかの実験の後、チーズ作りの虜になりました!チーズは風味豊かな生物で、さまざまな品種と個性がある創造的アートのようなものです。以前の所有者からトレーニングを受ける前、私が作っていたチーズは唯一ゴーダだけでした。

 

V:Creekside Cheese&Creameryで作られるチーズのこだわりを教えて下さい。

 

Jo:私たちは伝統的手法と丁寧な工程を用いてチーズを手作りし、この土地で生産される牛乳と真の自然な風味を表現しています。プレーンなチーズに関しては、原料乳、塩、培養液、そしてレンネット(酵素の混合物)のみでチーズを製造しています。人工的な成分、色素、防腐剤は一切使用しません。チーズの熟成段階でできる「外皮」は人工的なものと自然なものと2種類があります。自然の外皮は基本的にチーズを保護する天然のカビの層です。それに対して、人工的に作る外皮は培養液の入った液体を最初の数か月間の間、週に数回チーズにブラッシングし、チーズに外皮を作っていきます。この液体中の菌のおかげで、チーズの風味がより向上するのです。通常、私たちは3種類のゴーダチーズ、複数のアルプス・スタイルチーズ、またスプレッドチーズやチーズカードなど、約13種類のチーズを提供しています。

 

J: 過去15年間、私たちはホルスタイン品種(典型的な黒と白の乳牛)の群れをブラウンスイスに交配してきました。ブラウンスイスは、強力な足と脚、放牧に適し、分娩の容易さ、そして優れた乳脂肪と乳タンパク質で知られる酪農牛の品種です。当時、彼らのミルクがチーズ製造に特に適していることは知りもしませんでした!私たちは牧草地で牛を放牧する際に、モブ・グレージングという技術を活用しています。このやり方は、毎日牛に新しい牧草の区画を与えるのです。彼らは常に新鮮な草を食べることができ、前の区画の草が回復するのを待つことなく移動できます。そして、多年生の牧草地とすることで、浸食を最小限に抑え、土壌中の栄養分と有機物質を確保し続けています。これらの取り組みは、私たちの製品、特に凝縮されたミルクを使用したチーズに反映されます。この土地のすべての良さがチーズに凝縮されているのです!豊かな風味プロファイルは、乳が作られた場所の味です。それはまさにワイン(テロワール)と同じ感覚ですね!

 

V:次に、Creekside Dairyファームについて教えていただきたいですが、他の酪農ファームとの違いは何ですか?

 

J: 私たちのミッションステートメントは、倫理的に生産された健康的な乳製品を地元の消費者に提供することです。2015年以来、私たちは有機認証を受けており、2017年以降は、BCSPCAによって認定された「ヒューメイン(人道的)」認証も受けています。このプログは終了してしまいましたが、そのすべての基準が私たちにとっては日常化し、今でもこれらの基準に従いながら、さらに基準を上回る試みを続けています。人道的認証は有機認証に非常に似ていて、牛のマッサージのために牛舎に牛用ブラシを設置すること、毎日一定の牧草地放牧時間を確保すること、牛舎内の低い頭数密度、そして子牛は最低でも4か月間(通常は3か月)は全乳で給餌されること、などが挙げられます。そして、他の酪農ファームとの大きな違いは、消費者に生産地を開示すことにコミットしていることです。私たちショップの営業時間内は農場も一般に開かれていて、木曜日、金曜日、土曜日にはいつでも動物を見学に来ることができます。繁忙な夏の時期を除いて、毎月1回土曜日にはガイドつきのファームツアーも行っています。毎年春になると、牛舎で冬を過ごした牛が1年の最初に牧草地に放たれる瞬間を祝う、「Moo Let The Cows Out?」という楽しいイベントを開催します。興奮した群れが牧草地に入る様子を一目見ようと、昨年は約500人がそのイベントに参加しました。

 

V:農場での典型的な一日を教えて下さい。

 

J: 毎日、朝4:30と午後4:30に牛を2回搾乳します。搾乳は通常7時までに終了し、全ての群れが牧草地に出て行きます。朝の搾乳後、私たちは朝食を取り、午後12:30から1:00頃群れが戻ってきて牛舎の屋根の下でリラックスする時に、私たちも昼休憩に入ります。そして、夕方2回目の搾乳が始まります。農場の1日は決まったルーティーンに厳格に沿ったものです。搾乳の合間にその他のいろいろな雑務を行っています。

 

Jo:合計で約180頭もの牛がいるので、搾乳にはかなりの時間がかかり、この作業だけでも大変忙しいです。週に2日、私はチーズ作りに専念し、残りの日は農業に費やします。まだすべての牛乳を農場で処理することは出来ていませんが、将来的にはすべての牛乳をここで処理できるようにしたいと考えています。

 

V:Creekside Cheese&Creameryの製品はどこで購入可能ですか?

 

J:牛乳に関しては、農場内のショップに設置されたセルフサーブの牛乳ディスペンサーを通じて提供しています。私たちは牛乳を加熱殺菌するだけで、他は何も手を加えていません。とびきり新鮮な牛乳を自宅で2週間楽しむことが出来ます。牛肉も常にショップの冷凍庫にストックがあります。チーズに関しては、多くのローカルショップで取り扱われていると同時に、最近ではWhole FoodsとSobeys Inc(SafewayとThrifty’s)でも取り扱いが決まりました!

それでも、メトロバンクーバーから遥々ここまで足を運んで来る常連客もいます。夏季にはフォールズクリークマーケット(10月に終了)やアボッツフォードマーケットに出店、今年冬にはライリーパークマーケットに申し込みをしています。

 

V: お気に入りのチーズを教えて下さい。

 

Jo:私はラ・ベル・ヴァレ(La Belle Vallee)というチーズが好きです。これは、グリュイエールチーズの私達のオリジナルバージョンです。全てのチーズは、食べるものによってふさわしい時と場所があります。たとえば、私たちのガーリックベルパー(Garlic Belper)は、サラダやスープに加えるのに適した削りチーズで、すべての味を引き立ててくれます。

 

J:私の好みは、季節によって変わります。今のお気に入りはプティ・サヴォワ(Petite Savoie)で、ブリーを思わせるクリーミーなソフトチーズです。冬にはラ・ベル・ヴァレ(La Belle Vallee)が食べたくなります!

 

V:コミュニティでのあなた達の役割を教えて頂けますか?

 

J: 私たちの役割は、私たち農場とコミュニティーの人たちを食する物通じて結びつける事です。その繋がりがあることで私たちの仕事により充実感をもたらせてくれます。私たちがどんな取り組みをして、なぜそれを必要とするのかについて透明性を保つ事も大事です。これにはソーシャルメディアが非常に重要な役割を果たしてくれています。現場の舞台裏と私たちの顔を見せることで、人々は農家と食べ物とのつながりに目を向けることができます。特に、私たちが作る商品をスーパーで購入するお客様にとっては、ソーシャルメディアは私たち農場とつながるきっかけとなっています。

 

Jo:私たちは常にお客様を歓迎し、彼らの声に耳を傾けるようにしています。今ではお互いの名前を知って友達になった顧客もたくさんいます。

 

V:酪農家としての最大の喜びは何ですか?

 

Jo:毎日が非常に忙しく、仕事が決して止まらないとしても、家族と一緒にいて子供たちと一緒に仕事ができることです。農業の全ての側面が喜びとなっています。私は生涯酪農家であり続けたいと願っていますし、チーズ職人でもあり続けたいです。

 

J:「自分が愛する職業に出会った証明の基準は、それを無償でできるかどうかである」と読んだことがあります。この言葉はJohannesにぴったり当てはまると思います!

私自身、お客様との出会いと繋がりを感じるのがとても好きで、毎日充足感に満ちています。そして最大の喜びを感じる瞬間については、牛たちに囲まれながら牧草地に座って彼らを眺めている時です。

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Creekside Cheese + Creamery

Johannes and Julaine Treurs, owners

Bringing you farm fresh dairy while sharing life on our family farm: making the distance between farm + fork as short as possible.

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