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Pentâge Winery

Paul Gardner, Owner 

Credits

Photography - HIRO 
Interview - MINA

「私たちの情熱は、ブドウの栽培から始まり、卓越したワインを作り出し、最後には人々の笑顔を引き出すことです。シンプルですが、その一つ一つに心を込めて取り組んでいます」

Paul Gardner, owner of Pentâge Winery

 

 

ペンタージュワイナリーは、PaulとJulieの情熱が詰まったワイナリーです。ここへの道のりは、Skaha Bluffsと美しいSkaha Lakeの間を抜けるのどかな田舎道を進み、到着する前から、特別な場所に向かっている気持ちにさせられます。

大きな鉄のゲートが開くと、そこにはPaulとJulieが長い歳月をかけて築き上げた美しいワイナリーが広がっています。23エーカーの土地に広がる緑のブドウ畑は、Skaha Benchの傾斜に沿って湖に流れ込むように配置され、可愛らしいテイスティングルームと、巨大な天然岩を削って作られたワインセラーが自然の景色と調和しています。すべてPaulの手によって一から作られたことに驚かされます。

VOICEのインタビューで、Paulはこの小さなワイナリーの歩みと苦悩を包み隠さず語ってくれました。「ボトルエイジング(瓶熟成)」という手法で、ワインが最も美味しくなる飲み頃に近づくまで時間を待つスタイルは、ペンタージュワイナリーそのものを象徴しています。28年にわたる夫婦の情熱と愛が、全てのワインに注がれています。どんな夢でも実現できるというメッセージが、ペンタージュワイナリーの存在に込められています。こんな素敵なワイナリーが、ワインの熟成のように末長く実り続けることを願っています。美味しいワインを片手に、オカナガンの小さなワイナリーの形跡をご一読ください。

VOICE (V): ペンタージュワイナリーはどの様にして始まりましたか?

Paul (P): 1996年のイースターの週末に、妻のジュリーが私をオカナガンに連れて行ってくれました。ちょっとした休暇のつもりが、気づけば不動産探しになり、レイクサイドロード4400番地の物件を見た瞬間、私たちは一目惚れしました。当時、私たちはどちらもワインの世界には関わっていませんでした。私はまだ海洋技師として働いていて、ワイン作りの経験といえば、バンクーバーの自宅の地下室でワインキットを使って楽しむ程度でした。ただ、隣人が素晴らしいワインを紹介してくれたことがあって、その時にいろいろなブドウ品種からどれだけ素晴らしいものが作れるのかを、味覚で理解したように思います。ゼロから土地を整地し、ブドウを注文し、1997年の春に、現在「ビスタ・リッジ・ヴィンヤード」と呼んでいる場所に最初の5エーカーのブドウの木を植えました。その中の一つの品種がシラーで、当時この地域では珍しいものでした。

ある人が私に、海洋技師ならプロセス志向だからワイン作りは簡単だろうと言ったことがありますが、それは少々正しい意見と思います。しかし、私はいつも、料理好きならワイン作りもできると言っています。料理と同じで、最高の食材を選び、調理の過程に注意を払えば、良い結果が得られるのです。ワインは畑で作られるものであり、そのプロセスを導いていくのが私の役割です。完璧なブドウを育てることが最大の挑戦であり、手作業が多くを占めるため、とても時間がかかる挑戦でもあります。すべては果実次第で、良い果実が良いワインを作ります。私たちの最初のヴィンテージは2000年で、そこから全てが始まりました。

 

V: ワイナリーをゼロから作り上げる旅路はどのようなものでしたか?

P: これは本当に汗と努力の積み重ねでした。私たちはプロジェクトの大部分に最初から最後まで積極的に関わってきました。この業界では、いろいろな役割をこなせる必要性があります。農作業、ワイン醸造、パッケージング、機械修理、マーケティングやセールスまで、すべてを自分で行ったり関与したりしなければなりません。最初にこの土地の整地が必要だったのですが、「ブルドーザーに乗って土を押すだけだから簡単だろう」と思っていました。幸い、機械を貸してくれた人が熟練したオペレーターを派遣してくれて、私は指示を受けて仕事の10%程度しかできませんでした。その次に、ブドウ畑のレイアウトやインフラ整備、ブドウの注文、植え付けが続きました。当然のことながら、植え付けた後は、若い苗にどれだけのケアと愛情が必要かを痛感しました。1997年から2000年まで、私は海洋技師として働き続け、小さな仕事をいくつか掛け持ちしながら、農場の立ち上げにも取り組んでいました。そして2000年には、ワイナリーが私のフルタイムの仕事になりました。ジュリーは週末にバンクーバーから通っていて、それが2007年頃まで続き、その後ワイナリーは軌道に乗り始めました。

2001年9月11日、テイスティングルームの基礎を作っていたのを覚えています。それが完成した後は、私たちの有名な天然岩のワインセラープロジェクトに取り掛かりました。設計と岩盤を掘り出す作業を含め、465平方メートルの大きな洞窟を硬い岩から掘り出すのに10年以上かかりました。

ワインビジネスで成功するためには、24時間体制で取り組まなければなりません。ブドウを育てるのは非常に手間がかかり、時間がかかる作業です。冗談で「私は毎日半日しか働かないよ、朝7時から夜7時まで」と言いますが、半日とは12時間のことです。実際には農業とワイン作りの仕事はそれ以上に長く、飛行機に乗って休暇に行かない限り、仕事から離れることはありません。しかし、重要なのは、情熱を持っているなら、それが仕事のように感じないということです。いや、正直言って仕事のように感じる時もあるし、疲れてへとへとになる日もありますが、それでも続けるのが少しは楽になります。これは、取り組むべき覚悟の一例です。そうでなければ、小さなワイナリーを成功させるのは難しいと思います。

現在、私が唯一の従業員です。これまで素晴らしい人々と共に、良いワイン作りを追求することができたのは幸運でした。ジュリーはワインショップで数人のスタッフと一緒に働いていて、ブドウ畑では2人の外国人労働者が私たちを手伝っています。収穫期には、収穫を手伝ってくれる人々を見つけ、ワイン作りにも手を貸してもらっています。これが私たちの全チームです。

最近では、多くの人々が家を持つことができないと感じ、労働意欲を失っているようです。気持ちはよくわかります。これがどれほど希望を失わせるかも理解できます。ワイナリーを始めて維持することは決して安価なことではなく、私は三つの仕事を掛け持ちし、資金を調達するために副業も引き受け、ようやく現実にすることができました。もし本当にやりたいのなら、できると私は信じています。

V: ワイナリーとして成功したと実感したのはいつですか?

P: 正確には覚えていませんが、ジュリーが11年後にフルタイムでこちらに移り住めた時が、そのタイミングだったかもしれません。最初にワインのケースを売った瞬間は鮮明に覚えています。今では年間約5,000ケースを販売しています。これはワイナリーとしては控えめな数ですが、私たちにはちょうど良い規模です。人々が楽しみ、喜びを感じてくれるワインを作ることが、私たちにとって最も大切なことです。生産量を増やすことも可能ですが、小規模生産を維持することで、品質と細部へのこだわりを確保しています。私たちは、まさに理想の場所にいるのです。

もし、並程度で素晴らしいワインを作れなくなった瞬間、それはただの仕事になってしまうので、私はこのモノ作りに対する情熱を持ち続けたいです。もし私たちのワインを購入して、美味しいと思わなかった場合は、返金いたします。私たちは、全てのボトルに最高のものを注ぎ込んでいますから。

 

V: あなたのワイナリーを特別なものにしているのは何ですか?

P: 最初から私たちの哲学は、「飲み頃になった時にワインをリリースする」というものでした。この方法を「ボトルエイジング(瓶熟成)」と呼んでいます。私たちは赤ワインや選ばれた白ワインを瓶の中で熟成させてからリリースするため、顧客はリリースされた時点で美しく熟成されたヴィンテージをすぐに楽しめることができます。または自分のセラーでさらに熟成させるのも良いでしょう。

また、天然岩のワインセラーも特別です。ここは自然な気温制御がされており、樽セラーと特注のステンレスタンクが設置されています。最大の魅力はそのエネルギー効率の高さにあります。このスペースは暖房や冷房が一切不要で、自然に安定した温度を保ちます。温度は8.5度から21度の間で比較的安定しています。

V: 2024年のヴィンテージの状況はいかがですか?

P: 今年は収穫を行いません。ブドウの木は青々としているものの、2年連続の厳しい冬の影響で果実が生産されていないからです。「土地ベース契約」のワイナリーとして、私たちのライセンスでは自分たちの土地、またはBC州内の他のブドウ畑からしかブドウを使用できないため、商業的なワイナリーとは異なる制限があります。今年は、多くの議論の末、アメリカからジュースを輸入することが政府により許可されました。
その際に尽力したPopular Grove Wineryのクリス・ホラーには本当に感謝したいと思います。彼はこの状況を早い段階で予見し、政府がまだ協議している段階で、アメリカからブドウを調達し、バレーに配布するための物流を整えてくれました。彼とホラー家の取り組みは業界にとって本当に素晴らしいものです。私たちも運よく彼らのリストに加わることができ、2024年のヴィンテージ用のジュースを購入することができました。ただし、赤ワインについては別です。ボトルエイジング手法に基づき、現在は2018年のヴィンテージをリリースしています。2021年と2022年のヴィンテージはまだセラーで熟成されている状態なので当面は大丈夫です。

V: 気候変動は農家にとってますます難しい問題になっていると思いますか?

P: 気候変動について聞くたびに、「本当に?」と思ってしまいます。農業をしていると、常に自然と向き合っているので、自然の変動や気候の変化には慣れています。約2週間前までは、ペンティクトンの高低温、降水量、降雪量、風速などの歴史的データをEnvironment Canadaのウェブサイトで簡単に確認できました。しかし、最近のウェブサイトの更新で、データへのアクセスが少し複雑になり、クリックが増えました。それでも、情報はまだ利用可能です。

このデータを見直してみると、天候パターンが常に変動してきたことに気づかされます。たとえば、1940年代のカナダでの農業は極端な気象条件のために避けたかったでしょう。1900年代初頭の記録は地域によっては大雑把なところもありますが、気象の変動は常に存在していたことが分かります。私たちは自然が繰り広げるイベントに合わせて適応し、対応していく必要があります。

V: ペンティクトンのワインコミュニティについてどのように感じていますか?

P: 私たち始めた頃、ペンタージュワイナリーはBC州で87番目のワイナリーでしたが、今では300軒ほどに増えています。オカナガンバレーで働く主要な人物たちともほとんど顔見知りです。この地域のワイン業界は、とても楽しいコミュニティです。私は自分の手法をオープンにしていて、質問があればためらわずにシェアしています。皆が素晴らしいワインを作ることによって、より多くの人々を惹きつけ、オカナガンを訪れ、楽しんでくれると信じていますから。

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Pentâge Winery

Paul Gardner, Owner

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Welcome to Pentâge Winery, nestled on 23 acres overlooking Skaha Lake in Penticton, British Columbia. We're a boutique winery dedicated to crafting premium BC wines that showcase the unique terroir of our vineyards.
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