Red Barn Winery

Kaylee Barss, Wine maker

Credits

Photography - HIRO
Interview - MINA

Red BarnWineryは、オリバーに位置する最新のワイナリーです。Red Barnでは、伝統にとらわれない新しいアプローチを提案しています。Jagged Rockとして知られるぶどう畑にかつてひっそりと佇んでいた納屋は、2022年秋に建築家トム・クンディグによって、創造性と革新が息づく現代的で魅力的な空間へと生まれ変わりました。

細い砂利道を抜け、ぶどう畑の真ん中に佇むRed Barnは、一風変わったワイナリー体験へと誘います。内部には、カスタムメイドのカラフルなラシ発酵タンクとコンクリート製の卵型発酵タンクが配置され、モダンで工業的な美しさが広がります。ヒップな音楽が流れ、非伝統的な雰囲気が漂っています。ここでは、赤から白の順番でさまざまなワインを提供し、ワインテイスティングも驚きに満ちています。

しかし、Red Barnを特別な場所にしている理由はユニークさだけではありません。それはJagged Rockで育ったぶどうに深い愛情を注ぎ、その果実の本質を忠実に捉えることへの情熱です。彼らのワイン造りの哲学は、オーク樽の影響を極力排除し、コンクリートでの発酵と熟成に焦点を当て、ワインの香りと味わいを引き立てることです。また、Red Barnはストリートアーティストとのコラボレーションを通じて、各ワインに表現豊かなラベルを制作し、ワイナリーの芸術的なスピリットを反映しています。

Red Barnは単なる規則に従うのではなく、ワイナリーのあり方再定義しています。ここは単なるワイナリーではなく、オカナガンワインカントリーにおける前衛的な創造性の象徴です。20代の若きワインメーカー、ケイリー・バースが率いるRed Barnは、単一のクラシックワインに止まらず、ワイン造りの限界を押し広げることにコミットしています。Red Barnは、可能性無限大のワイナリーなのです。

VOICE(V): オカナガンのJagged Rock Vineyardが特別な理由を教えてください。

K: Jagged Rockはオカナガンで最も素晴らしいヴィンヤードの一つであり、驚くべき景色が広がっています。私たちのすべてのラベルには、その岩の輪郭模様を見つけることができます。これらの岩は単なる景色以上の存在であり、高品質なぶどうを育てる為に必要な、長く熱い夏という恩恵をもたらしてくれています。私たちのスタイルは自然のぶどうからポテンシャルを引き出すことに重点を置いていますが、それと同時に実験的な要素も取り入れています。私たちは毎シーズン、この場所の特徴を生かしながら提供できるものを考え、その年のヴィンテージとテロワールを際立たせるために柔軟性を持って取り組んでいます。シャルドネやカベルネ・フランなどオカナガンのクラシックな品種もありますが、サンジョヴェーゼ、バルベーラ、ネッビオロなどのイタリア品種も積極的に試しています。そういった理由でオカナガンで私たちは実験的な存在だと思います。

V: コンクリートとオーク樽でワインを熟成させることの主な違いは何ですか?

K: オークの樽でワインを作る方法は非常に古典的で素晴らしい方法です。長年人々が愛するスモーキーで、トーストした素晴らしい風味を楽しむことができます。一方コンクリートはワインをより輝かせます。ぶどうの特性を際立たせ、天然の香りを引き立て、徐々に熟成を促すことで、ワインの個性をより際立たせるのに一役投じています。ステンレス鋼やコンクリートで白ワイン熟成させるのは一般的ですが、コンクリートで赤ワイン熟成を試みるのは驚きかもしれません。コンクリートで熟成した赤ワインはより鮮やかで新鮮、寝かせなくてもすぐに楽しめるのが特徴です。また樽と比べて蒸発が少ないため、実用的な利点もあります。コンクリート熟成はトレンドとして広まっていますが、今後さらに多くのワインメーカーがコンクリート熟成を試みることになっても驚かないでしょう。

V: Red Barnの主要なワイン造りの哲学は何ですか?

K: Red Barnのワイン造りの旅はまだ始まったばかりで、私の哲学もワイナリーとともに成長し進化しています。私たちのアプローチの中核にあるのは、この場所から生まれる信じられないほど素晴らしいぶどうを紹介することです。私たちは実験的で限界を押し広げることを大切に積極的に線路からはみ出る事を好みます。ここでは多くの表現の自由を持つ幸運に恵まれて、特定の年に特定のワインを作る必要はありませんし、時間の縛りもありません。それはワインメーカーとして持つ信じられない特権だと思います。

V: Red Barnに参加する前の個人的なバックグラウンドを教えていただけますか？

K: 私はバーノンで育ち、両親は地元のワイナリー文化に大きな興味を持ち、時にはヨーロッパのワインカントリーを訪れるために休暇を取ることもありました。大学進学を検討する際、初めはワイン業界への具体的な進路が見えてこず、両親と同じくヘルスケアのキャリアを目指して科学を学ぶ決断をしました。しかしそのプロセスの初めで、それが私には合わないことを悟り、学位を植物生物学に移しました。私のキャリアが動き出したのは、Arrowleaf Cellarsのテイスティングルームで仕事を始めたときでした。そこで、ワイン業界でのキャリアの可能性に初めて触れました。その後、カナダ東部にあるBrock大学のぶどうとワイン技術のプログラムを修了しました。そして、ナイアガラ地域の小規模な家族経営のワイナリーであるFielding Estate Wineryで働き、最終的にはCheckMate Artisanal Wineryでの仕事を得て、オカナガンに戻って来ました。CheckMate Artisanal Wineryは、ワイン醸造において非常に細部までこだわる重厚なアプローチを採用しており、私はそこで基本的なスキルを習得しました。

V: 特定の食事や料理にワインをどのようにペアリングするかお勧めの方法を教えてください。

K: Silent Partner Cabernet Francは、スパイシーなソーセージ、香り高いハーブ、そして脂肪の多いチーズがトッピングされたファイアローストピザと素晴らしいペアリングとなります。Discordian White Blendは、明るくトロピカルなワインで、グリルチキンや繊細な魚と素晴らしい相性です。爽やかさを引き立てるために、夏野菜のサラダを添えることをお勧めします。TRANSFICTION Roséは、コンクリートの卵型発酵タンクで発酵させられたカベルネ・フラン、シラー、サンジョヴェーゼのブレンドです。このユニークなロゼワインは、スイカと新鮮なバジルのサラダと一緒に楽しむと、ぶどうの風味とハーブのニュアンスをより引き立ててくれます。

V: ワイン造りにおいて、インスピレーション源はどこから来ますか?

K: 私のインスピレーションは、さまざまな所から得ています。過去の仕事で学んだ経験、楽しいワインの試飲経験、それらを通して出会った多彩な味わいからです。最近イタリア品種の葡萄を扱い始めてからは、特にイタリア北部のワインに魅了されています。将来的には異なる国々でワインツアーに参加したいと考えています。チリは、コンクリート熟成で造られるワインが多く私の旅のリストの上位にあります。また、ニュージーランドとオーストラリアに訪れて、彼らの活気あるワインシーンを体験したいと思っています。

V: 新しいワイナリーの認知度がどのように広まるものなんでしょう?

K: 主に口コミとソーシャルメディアです。オープン当初、最初の数ヶ月間は看板さえありませんでした！私たちは常に知る人ぞ知る、隠れ家的な存在でありたいのです。私たちのワインは、ここオリバーにあるワイナリーで楽しむか、ごくわずかなレストランで楽しむことしか出来ません。

V: ワイナリーでの仕事の最大の喜びは何ですか?

K: 収穫シーズンは私にとって非常にワクワクする時期です。収穫されたぶどうがワイナリーの扉に運ばれてくると、数ヶ月にわたる計画の集大成のようです。かなり忙しくなりますが、みんなが協力しやる気満々です。私たちは間もなく収穫を始める予定で、今年のシーズンは素晴らしい収穫ができる見込みです。新しい試みをする新たな機会を提供してくれます。

V: オリバー近郊でお気に入りの場所を教えてください。

K: Firehall Breweryは、ここ周辺で唯一のブリュワリーでお気に入りです！また、オリバー近くのMcIntyre Bluffでハイキングするのも好きです。半日ほどのハイキングで、オカナガンバレーの素晴らしい景色を望むことができます。